シモテンです
やられました、流行病に
インフルエンザA型と闘うこと5日間
自分は侵されないと、どこかで思っていた
同僚が「インフルエンザ」で休むことになった、と聞いても軽く考えていた
インフルエンザA型のウイルス感染力が高いと言われる5日間の症状、経過を残しておく
日曜日(1日目)
日曜日の夕方、様々な用事を済ませて「くつろぎタイム」に入ろうとする頃、喉に少し痛みを感じ始めていた
手洗い、うがい、のど飴をなめて抵抗するも夕食を食べて風呂から出る頃には悪寒と、喉の痛みが強くなってきた
早めの就寝をしたが、真夜中過ぎに喉の痛みが酷くなり市販の風邪薬を飲んで再び寝床へ
月曜日(2日目)
翌朝の月曜日、薬が効いているのか、真夜中よりは少しはマシな程度だが、悪寒と喉の痛みは続いている
何となく節々も痛い
体温計で測ってみると「37.2℃」
普段、低体温症の私は「36℃」辺りが平熱なので明らかに発熱している
「まずい、もしかしてインフルエンザか?」
「37.2℃」なら頑張って出勤出来ない体温ではない
月曜日という週明けで忙しい日、既にインフルエンザで休んでいる職員もいて、人手も少ない状況で休みたくはない
「根性出して突破するか!?」
だが待て!!
万が一インフルエンザだったとしたら、更に深刻な状況を作ってしまうことになる
「根性のない奴」と思われるのはアラフィフ世代としては許しがたいが、今日は医者に行ってインフルエンザでは無い事を証明してもらい、明日の火曜日には熱を抑え込んみ根性を出して出勤する方向で行くことにした
事務所に連絡し、勤怠担当者には
「単なる風邪だと思うので、明日は何とか出勤するようにします。取り敢えず医者に行って薬を貰ってきます」
と伝え、診療後に報告することになった
あまり食欲も無かったが、軽く朝食を取りマスクをして近所の内科クリニックに行くと、院内は超満員の患者達で溢れていた
風邪の流行する時期と、休み明けの月曜日ということも重なって混雑に拍車がかかった状態だろう
熱がある患者は受付で申し出なければならない
受付で渡された体温計と問診票に検温「37.3℃」と症状を記入して戻し、待つこと約40分
診察室の前を通り過ぎ、奥の隅の方に用意されている椅子に案内された
看護師は
「熱は37.3度なので、それほど高いわけではないようなのでインフルエンザでは無いと思いますが、念のためインフルエンザと、もう一つ流行っている溶連菌の検査もしておきますね」
と言って、綿棒が極小になったようなもので、喉の奥と、鼻の奥をグリグリと擦って持って行った
鼻の奥がヒリヒリしたまま暫く耐えていると、診察室からお呼びがかかった
果たして陽性か、陰性か!?
診察室の扉を開けて、医師の前の椅子に腰かけて最初の一言を待った
「良かったです、インフルエンザは陰性でしたよ。溶連菌も検出されなかったので、通常の風邪の対処をすれば良くなるでしょう。」
「陰性」という言葉にホットし、処方薬を持って帰宅後に事務所に電話を入れた
「もしもし、結果はインフルエンザ陰性でした。ただの風邪のようなので根性出して、何とか明日出勤出来るように努めます」
と言って電話を切った
処方された薬を飲み、明日の再起を固く誓い死んだように眠った
火曜日(3日目)
目覚まし時計の音で目を覚ました
睡眠時間は充分取ったし、薬も効いているはずだ
だが、躰全体が異様に重い
「ちくしょー、何だか昨日より辛くなってるじゃねぇーか」
寝床から這い出し、クラクラする頭で体温計を探して検温してみる
「38.6℃、どうなってるんだ…」
体温計を前に虚ろな目でソファーにもたれる私に、起きてきた妻は言った
「やっぱりインフじゃないのー?」
そんなわけは無い、昨日しっかり熟練の看護師に検査してもらっているんだ
しかし、発症直後では検査に引っ掛からないこともあるという事をどこかで聞いたことがある
昨日
「根性出して出勤出来るように努めます」
などと言った手前、非常に電話しづらかったがのだが仕方が無い
勤怠担当者に状況を話し、今度は少し離れた耳鼻咽喉科に行くことにした
朝メシを食べる気にもならず、耳鼻咽喉科の受付開始時間が近付くまで耐えていた
病院へ向かう時には「39.8℃」まで更に上昇を続けフラフラしてきた
8:45に耳鼻咽喉科医院に到着
9:30の診療開始までには時間があるが、少ない駐車場の確保と待ち時間を少なくする為だ
今日は「39.8℃」の高い発熱がある事を伝え、問診票を窓口の看護師に渡した
受付票には既に10名ほどの名前が記入してある
9:30前には診療が始まり、先約の患者さん達が診察室へ呼ばれ始める
5、6人が呼ばれたところで「高い熱が出ている方がいますので、順番を先行させて頂きます」との看護師さんのアナウンスで私の名前が呼ばれた
昨日の検査の結果も伝え、再検査を行った結果
「しっかり出てますねえ、間違いありません。インフルエンザの陽性反応ですね」
検査キットを私にも見せながら、医師が説明をしてくれた
白いプレートのような物に「A」「B」「C」と表示されており「A」表示の横に鮮やかな朱色のラインが浮かび上がっている
「インフルエンザの薬を出します。暫くは外出は控えて頂き、会社にも出勤しないで下さい」
と言われ、会計も薬の受け渡しさえも待合室とは別の隔離された部屋で行った
インフルエンザウイルスに処方された薬は「ゾフルーザ」
昨年登場した新しい抗インフルエンザの薬で、一回2錠を内服するだけで治療が完了するということだ
抗インフルエンザ薬として有名な従来の「タミフル」や「リレンザ」のように数日間の服用は必要なく、たった一度飲んだら終了というあっけなさだ
さすがに価格も高く、処方箋には薬価は約2400円と記載されていたが素直に「ありがたい」と感じた
「ゾフルーザ」なんともカッコイイネーミングではないか
帰宅後すぐに内服し、気持ちらるさで夕飯もほぼ食べられずに死んだように眠った
水曜日(4日目)
朝、目覚めたときには、すでに日は高く、家族は皆仕事や学校へ行ってしまい静まり返っていた
体温は「37,8℃」と微妙な数字だ
やはり食欲はなく、カップの天ぷらそばを1つ食べて再び布団に包まった
「ともかく今日は体力温存、回復の為に寝るぞ」
日中を眠り続けて、あっという間に夜となる
あまりにも寝過ぎて真夜中過ぎには腰痛と、目が冴えて眠れなくなった
夜中に目を開けて、ひたすらに天井を見ていると様々な不安や恐怖が襲ってくる
もしも、不幸にして躰が動かなくなって天井を見続けるしかなくなったら、一体どうなってしまうだろう
来る日も来る日も、永遠に痛みに耐え続ける生活を送ることになったらどうする
想像を超える絶望感に「うつ病」になってしまうだろう
10か月にも及ぶ闘病生活を勝ち越えて退院された「池江璃花子」さんや、突然の事故で寝たきりの生活を余儀なくされている「 flatman. こと、平 明広」さんの気持ちなどを想像しただけでも、更に眠れなくなってしまった
午前4時ごろに、ようやく眠りについた
木曜日(5日目)
目が覚めたのは午前9時過ぎだ
一応、金曜日まで休みをもらっている
今日一日で完璧な体調に戻しておきたい
体温は「37.2℃」で、完全に下がってはいないが気分は悪くない
誰もいない食卓で、白米と納豆とインスタント味噌汁で朝食を済ませる
「あと一歩のところが大事だ、ここで油断したら負けだ」
しかし、鈍った躰を少し元に戻さなければならない
軽く柔軟体操をしてみると、関節のあちこちから「ポキッ、パキッ」を軽い痛みを伴いながら音がする
たった5日間だったのに、結構固まってしまうものだ
何ヶ月も寝ていたら、リハビリは大変なんだろうな
こう言う辛さは、本当になった人でなければ絶対に分からないものだ、という事のホンの一分を感じた
痛みが無くなって行くに連れて、今回感じたような絶望感も忘れていってしまうだろう
台所にあった汚れた食器を洗い、風呂掃除をする
看病してくれた家族への感謝の気持ちは一応伝えておかないと
夕食には食欲も回復し「豚バラ鍋」を家族で囲んで沢山食べた
金曜日(6日目)
朝6時の起床時の体温は「36.6℃」
平均体温が低い私としては、これ位か平熱になったほうが健康ではないかと思う
しっかり朝食をとり、家族を送り出す
食器を洗い、布団を全てベランダに干し、風呂掃除
薄めのインスタントコーヒーを飲みながら一息
ネットで三分クッキングを見ながら、今晩は快気祝い「鶏モモ肉のトマト煮」に決めた
「さあ、買い物に行くか」
土曜日には、いつもの生活に戻っていた
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