休日のステルスチェイサー 3/3

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ステルスチェイサー「覚醒」

サンメカshimo

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時折インターチェンジから流入してくる車が右、右へとレーンチェンジしながら目の前の追い越し車線に入ってきては加速していく。

追い越し車線を走りながらも、今日はこれ以上スピードを上げるつもりはない。

勿論、飛ばしてくる奴には道を譲る為にも後方の確認には気を使いながら。

目的のインタチェンジ出口まであと二つと言うところで、猛スピードで接近してくるワンボックス車がミラーに映った。

前方の全てを弾き飛ばさんばかりの勢いで迫ってくる。

冷静に道を譲った私の脇を掠めるように大きめの車体が抜き去っていく。

そして、ウインカーを出すことも無く、追い越し車線から一気に二車線を越えて最左側のレーンまで殆ど車速を落とすこと無くスライドしていった。

 

「なんて運転をしてやがるんだっ」

 刹那、追い越し車線を映すサイドミラーを見て凍りついた。

 

真っ赤な閃光と、見開かれた両目から放たれる様な眩しいハイビーム、甲高い咆哮を上げる「奴」がそこにいる!

「サイレントチェイサー」は遂にその正体を現したのだ。

それは、もはや「チェイサー」ではなく獲物を狙う「ハンター」そのものだ。

逃げるガゼルを仕留めるチーターの映像が、目の前の光景と重なり合う。

最左側レーンのトラックの後ろで身を潜めるワンボックス車よりも、幾分先行する位置まで追い越し車線を走ってきた覆面クラウンが中央車線に移動する。

訓練を積んだ彼ら、彼女らから逃れることは出来ない。覆面パトカーのドライバーが女性だった事を、息子から後で聞かされた。

 

並走するワンボックス車に向かい一言二言何かを発した後、トラックとの間をこじ開ける様にそのシルバーの車体を割り込ませた。

「終わったな・・」

そう言ったのは助手席の息子だった。考えていることも、言う事も似てしまうものだろうか。

お決まりのスピーカーでの指示は無く、真っ黒なリアウインドウに

「パトカーに」「続け」

との掲示が点滅する仕様になっているのだ。

(取り締まりもスマートになったものだ)

徐々にスピードダウンしていく2台を横目に見ながら、ZCTのハンドルを握り直す。

綺麗に磨き上げられた綺麗なワンボックス車の家族は、この後どんな休日を過ごすのだろうか。心情が運転に影響してしまうことは避けられないかもしれない。

 

それは、私も同じだ

 

目的の鶴ヶ島インターを出て、高麗駅を越え「豆腐厨房」に着いたのは11時を大きく回っていた。

小さなテーブルが6つ程のお店だが、中央にあるストーブにより、店内は柔らかな暖かさに包まれている。

ビュッフェスタイルで豆乳味噌汁や大豆創作料理を堪能した。

隣にある農産物直売所では、安くて新鮮な野菜を購入。形は整っていないが、どれも本当にみずみずしい。

「甘いよ!」とが書かれた手書きのポップが添えられた、見たこともない「円錐形のキャベツ」が気に入って、買い物かごに加えた。

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晩の食卓には、直売所で購入した新鮮な野菜を使った料理が並んだ。

特に気になっていたキャベツは、生のまま噛んでみると口のなかに甘味が広がり、とても旨い。野菜嫌いな息子が、キャベツを使った野菜炒めを旨そうに食べていたぐらいだ。

痛風の要因である尿酸値の上昇を減らす為、気休めのプリン体0のビールを飲みながら「下町ロケット」に涙を流す。

皆はどんな休日を過ごしたのだろうか。

ブログを覗きながら、睡魔が襲ってくるまでマッタリした時間を過ごそうか

 

by サンデーメカニックshimo

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