公開日 2022年8月20日 最終更新日 2022年9月11日
ボタンが固着した腕時計の修理
シモテンです
今回は「固着して押せなくなった腕時計のボタンを分解修理」してみました
普段使いの腕時計はセイコーのクロノグラフ「7T92」です
クロノグラフ時計はストップウォッチなど、多機能で複数の針やボタンが機械美を演出します
腕時計のボタンが押せない
クロノグラフは複雑な分、トラブルの発生も多くなります
なかでも多いトラブルがボタンに関する不具合です
ボタンが固まって押せない、戻らない、水分が侵入する等など
このトラブルは「リューズ」にも、同様に起こる
その原因はボタン、リューズの固着である
使用により可動部であるボタンホールに埃や泥などの汚れが入り込み詰まらせる
リューズでも原因は一緒です
余談ですが、固まったリューズを力任せに回そうとしたらリューズのヘッドだけが取れました(泣)
今回はボタン、リューズ部分の固着を分解修理してみます
裏蓋を外す
前回の腕時計電池交換記事に詳細は載せましたので参照して下さい
ただし、固着したボタンの分解、修理、洗浄時にはベルト全体を外します
リューズを外す
腕時計のリューズは押し込んだ状態にしておく
セイコー「7T92」の場合、基盤の中に「Push」の刻印があります(赤矢印)
そこにある穴に細い棒状の物を差し込みます
プラスチック制の物があればよいのですが、丁度良い物がなかったので、「楊枝」を使いました
先端が折れたら面倒なので、よゐこは真似しないで下さい
「Push」部を下に押し込んだまま、リューズを引き抜くと外れます
本体を取り出す
ここから先の作業は注意が必要です
盤面や風防に指紋を付けない為に、極薄の指サックがお勧めです
極細の針にも触れないことです
この腕時計の場合、他に留まっている箇所ありません
ムーブメント本体を上方に持ち上げて取り出す
スタート、リセットボタンを外す
各ボタンはケース内まで貫通しており、内側のEリングで留まっている
Eリング、Cリング、ボタンスプリングクリップ等とも呼ばれている直径1mmにも満たない極小部品です
最大の難関は、このEリングの脱着です
飛ばしたら最後、見つけることは困難を極めます
Eリングの開口部に精密ドライバーの中央を少し削った自作の治具を差し込み外しました
特殊な工具があるかもしれませんが、マニアックな世界です
ボタンを引き抜く
通常ならばEリングを外せばスタート、リセットボタンを引き抜けます
しかし、ボタンが戻らない場合は固着しているので内側から強く押し出します
更に抜けなければシリコンオイル等を注入して、ボタンの軸に力をかけて押し出せば外れます
綺麗に洗浄
ボタンが外れたら綺麗に洗浄し、ボタンホールの詰まりや汚れも落とします
画像のようなブラシがあると便利です
ケース内の埃やゴミはエアブローで飛ばす
ボタン軸、リューズのOリングを交換する
専用のシリコンオイルを少量塗っておく
スタート、リセットボタンの軸にはスプリングが着いていますので無くさず、忘れずに洗浄、組み込みます
更にさらに
剣抜きで針を外す、歯車を外し注油、ムーブメントを分解・・・
ディープな世界が口を開けています
これ以上の作業は、「ハズキルーペ」が必要(笑)なのでやめます
(本当は拡大鏡が必要)
素人DIYでは引き返す勇気も必要、この辺りが限界に近いです
元通りにして終了します
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