公開日 2020年4月14日 最終更新日 2021年7月26日
シモテンです
あと何回、両親と一緒に桜を見られるだろう
80歳を目前にした高齢の母に車椅子を送ろうと思ったのは、まだ桜が咲く前の3月半ばだった
パーキンソン病を患う母へ、ジモティーで買った中古のオンボロ車椅子
ボロボロの肘掛けは、何とか修理した
更にオンボロ車椅子の修理を進めたのだが…
座シート、背もたれは放置
肘掛けの修理に続いて、座シートと背もたれの修理に取りかかった
日が当たって、一部だけ白く色抜けしてしまって見た目が非常に残念な状態だ
試しに簡単に外せる座シードを外して、染料で染めてみることにした
座シートは左右のフレームに4つのネジで固定されているので、全てネジを外せば取り外せる
粉の染料をお湯で溶かして30分程浸してみたが、防水加工をしてある素材の為か殆ど染まらない
次の手段としては、芸能人ヒロミの「八王子リフォーム」でも良く登場する「染めQ」を使用することだ
番組では、塗装がし辛いアルミ等にも使っていた「染めQ」だが、1本2000円也
「やっぱ高いわなぁ~」
防水敷きパッド等をシートに被せる、という手もあるか…
座シート、背もたれは暫し放置してフットプレートの修復を検討する

フットプレートの修復も難しい
本来有るはずの足を乗せるフットプレートが無い
この車椅子の現状からすると、恐らく劣化で割れてしまって取り外されたのだろう
フットプレートをDIYで作ると言っても難しい所は、乗降の時に邪魔にならないように「跳ね上げ」られるようにすることだ
バイクの折りたたみ式タンデムステップが大きくなった様な感じだ
さて、どうやって作るか…

迫るタイムリミット
試行錯誤しているうちに桜の開花が近付いてしまった
タイムリミットが迫る中、これまた偶然にも同じメーカーの中古車椅子を「ヤフオク」で探し出した
しかも「直接引き取り可能」で、無理なく取りに行ける場所だった
状態も、こちらの車椅子の方が明らかに良い
懸案事項の「色褪せ」「フットプレート」の問題も解決出来そうだ
手っ取り早い方法として、「ニコイチ」を選択することにした
ただ1点問題なのは、大きな車輪にハンドリングが付いた自走式車椅子だと言うことだった
入札の結果、ナント1200円で落札!
合体!車椅子
ヤフオクで落札した車椅子を愛車ZCTで引き取りに行き、自宅に持ち帰った
ZCTは小さい車体のわりに、結構大きめの物も詰めるのだ
状態は悪くなく、このまま使用しても良さそうな感じだ
不具合は、ブレーキワイヤーの留めネジの固着ぐらいだ

しかし、自走式の大きな後輪のフレームではなく、「ジモティー」で入手した介助式の車輪の小さな車椅子を再生したいのだ
最大の懸案事項である「フットプレート」と「座シート」「背もたれ」をオンボロ介助式車椅子に移植、合体する

フットプレートの移植
ヤフオクで入手した車椅子のフットプレートは、開閉状態にも問題はなく、そのまま使えそうだ
折りたためるフレーム部分から移植する
六角穴付きボルトを外して、入れ替えるだけだ
座シートの交換
座シートの固定に使われている六角穴付きボルトも、六角穴の大きさは全て同じものが使われている
座シートは左右のフレームの上に、4本のネジで固定されているので全て外せば取り外せる
取り付けは、座シート端に差し込まれている金属プレートの穴を確認してボルトを通してしっかり留める
背もたれの交換
背もたれは、少し面倒だ
背もたれシートにはフレームが通っている為、フレームから抜き取らなければならない
ハンドルのグリップとブレーキを外して上から抜き取るか
もしくは、ハンドルを折りたたむ部分を分解して外すかのどちらかだ
今回はハンドルグリップとブレーキレバーを外して、フレーム上部から背もたれを引き抜くことにした
まず、背もたれの下部を裏側から留めているボルトを外す
ハンドルグリップは、自転車のグリップと同じ要領で差し込まれている
ピッタリとハメ込まれており、普通に引っ張っただけでは外すことは難しいだろう
少し強引ではあるが、シモテンは「パイプレンチ」を使うことにした
- メディア: Tools & Hardware
始める前に潤滑油のCRCを、パイプとグリップの間に浸み込むように吹き付けておく
ハンドルグリップに保護用の布を巻いて、パイプレンチで挟んで少しずつ力を入れて回していく
一度動き始めてしまえば、抜けるまではそれ程苦労しない

次にブレーキレバーを取り外す
ブレーキレバーを固定している穴付きボルトを外す
更にブレーキワイヤーも引き抜ければ作業は楽なのだが、取り付け部分を外したりと手間がかかりそうなので今回は外さずに、多少強引に引っ張ってフレーム先端からブレーキレバーを引き抜いた

左右のブレーキレバーを外し、背もたれシートを上方から引き抜いて外す
背もたれシートを入れ替えて、必要ならばブレーキ調整もしておく

ニコイチ完成!
その他のメンテナンスとしては、ブレーキゴムを交換、可動部分の注油、ガムテープ跡やベタツキをパーツクリーナーで洗浄等々と手を入れて「ニコイチ」完成!
ひじ掛けも移植しようと思ったのだが、ヤフオクで入手した車椅子もこの部分は破損してグラグラだったので、折角作ったこともあり「DIYひじ掛け」を使った
どうも、このひじ掛けの作りには耐久性に問題があるようだ
何はともあれ、母の為のオンボロ車椅子をリフレッシュすることが出来た


残ったフレームの残骸は、粗大ごみとして「250円」で処理してもらった
桜咲く公園で
3月下旬の平日
有休を取り、母の定期健診に父も乗せて付き添った
特に大きな変化もなく、病状は安定しているとのことだった
気温20度を超える風のない暖かな晴天の中、検診を午前中に終えたその足でコンビニに寄り、おにぎりとサンドイッチとお茶を買って桜咲く公園に向かった
車から車椅子を取り出して母を乗せ、父に押してもらった
ベンチ脇に母の車椅子を止め、父と3人で久し振りにゆっくり話しながらサンドイッチを食べた
数日後に春の雪が降るとは思えないやわらかな日差しの中、桜咲く広い公園を1時間ほど車椅子で散歩した
「両親にやれることを、1つだけ出来たな」
母を乗せた車椅子は「オンボロ車椅子」とまでは言われない程度までDIYで仕上がったと、自己満足している
その後「花見自粛、禁止」となり、満開の桜を楽しむ事は出来なくなった
いつかやろうと思っていたことを、今やろう
その「いつか」は、来ないかもしれないのだ
コメント
すごいです!感動しました。
id:kogysmaさん、コメントありがとうございます!作業自体は難しいことはなかったのですが、タイミング良く間に合いました。まだ寒いかもしれませんが、新緑の八ヶ岳ライフを穏やかに楽しめると良いですね